今回は、野菜ジュースを取り上げます。「野菜ジュースは、野菜の代わりになるよね?」と考えがちです。でも実際には、野菜そのものにはかないません
こんにちは。私は現役内科医師の「えま」です。医師歴は25年、総合診療部や代謝内科で勤務してきました。一人暮らしをしています
この記事では、野菜ジュースが「一人暮らしのズボラ飯」にとして本当に使えるのか?医師の視点も交えて考えてみます
結論から言うと、一般的な野菜ジュースで摂れるのは、ざっくり「βカロテン、カリウム(多くはない)、水分、炭水化物(糖質)」です。野菜の栄養素を手軽に摂れる補助的な手段ですが、野菜の代わりにはなりません
実は、野菜ジュースには食物繊維がほとんど含まれませんし、ビタミンも色々と足りない。ファイトケミカルも少ないのです
ですが、足りないものは調整すればOK!
野菜ジュースは「一人暮らしのズボラ飯」にとして使えるのでしょうか?野菜ジュースの良さは?足りないものは何か?不足するものを手軽に補うには?
ズボラ飯の一人暮らしの皆様、野菜不足が気になりませんか?今回は朝食メニュー例も示しながら、詳しく説明していきます

野菜ジュースって、野菜の代わりになる気がします。健康に良さそう…ですよね?

健康に気を付けていますね!野菜の成分が『部分的に』摂れますよ
ただし、野菜ジュースは、野菜の代わりにはなりません

えっ?どういうこと?!野菜ジュース飲めば、ビタミンや食物繊維がバッチリ摂れるんじゃないの?

まあ、そう思いますよね…。それでは始めましょう
私はこんなふうに食べています
朝食例
- フルーツグラノーラ(カルビー)50g
- サラダチキン 1つ
- バナナ1本
- 伊藤園 ビタミン野菜 200ml (紙パック)
包丁も加熱もいらない。あっという間に準備完了!手間なし・節約・そこそこ健康的な朝食で一日をスタートさせましょう!
「野菜」のすばらしさ!(※ここは、野菜ジュースの話ではありません。「野菜」の話です※)
野菜ジュースの前に、まず野菜の話から始めます
みなさんは野菜に何を期待していますか?「血がきれいになる?」「抗酸化作用があり、老化予防になる?」「ビタミンや食物繊維がたっぷりとれる!」「ファイトケミカルが含まれていて健康的!」などと、何となく考える方が多いのでは?
「野菜」の、ビタミンについて
ビタミンは、人間にとって必要不可欠な栄養素です。野菜はビタミンA(βカロテン)やビタミンC等を含みますが、ビタミンB12やビタミンD等はあまり含みません
ビタミンには多くの種類がありますが、野菜だけで十分量を摂取することが出来ないのです。例えばビタミンB1は豚肉に、ビタミンB2はアーモンドに、ナイアシンは肉や魚介に、ビタミンB12は貝類や肉類に多く含まれています。野菜だけでは、ビタミンが不足するのです
*例えば、ビタミンB12を多く含む食品を見てみましょう

…トップ10に、野菜は出てきません
「野菜」の、食物繊維について
食物繊維は腸の中で様々な働きをする栄養素です。「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」があり、バランスよく摂取するのが理想です
・水溶性食物繊維は、こんぶ・わかめ・こんにゃく・果物などに含まれます
・不溶性食物繊維は穀類・野菜・豆類・きのこ類などに含まれます
食物繊維は小腸で消化・吸収されずに、大腸まで達する食品成分です。便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっています。現在ではほとんどの日本人に不足している食品成分ですので、積極的に摂取することが勧められます
引用元:食物繊維の必要性と健康 厚生労働省
水溶性食物繊維には果物や野菜に含まれるペクチン、コンブやワカメなどのぬるぬるの成分のアルギン酸などがあります。
不溶性食物繊維には、植物の細胞壁を構成しているセルロースやヘミセルロース、リグニンなどがあります。カニやエビの殻に含まれるキチンも不溶性食物繊維に分類されます
引用元:食物繊維の働きと1日の摂取量 公益財団法人長寿科学振興財団
「野菜」で血がきれいになる??
バランスよく野菜を摂ることは良い事です。しかし、「血がきれいになる」という医学用語は存在せず、明確な定義もありません
「野菜」の、抗酸化作用・ファイトケミカルについて
「野菜には抗酸化作用があるファイトケミカルが含まれている」という話を、お聞きになったことがあるでしょうか?しかしこれは、そんなに単純な話でなさそうです。
「野菜そのものは体に良さそうだが、野菜に含まれる成分を一部だけ取り出しても、それが体に良いとは限らない」という感じです。詳しい仕組みは、まだ明らかになっていません
抗酸化物質の宝庫である野菜や果物を多く食べる人ほど、慢性疾患のリスク(危険)が低いというエビデンスは数多くあります
引用元:抗酸化物質、厚生労働省eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)
野菜や果物、あるいはその他の抗酸化物質を多く含む食品を多く摂ることによる健康への有益な効果は、これらの食品に含まれる他の物質や、これらの食品を食べることに関連する人々のライフスタイルの他の側面によるものかもしれません
引用元:抗酸化物質、厚生労働省eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)
「野菜ジュース」と、「野菜そのもの」は、違うもの!
ここでは、「野菜ジュース」と「野菜そのもの」の違いを考えます
野菜ジュースは、確かに「野菜不足を補っている」という満足感を得やすいのですが、実際にはいくつかの栄養素が抜けています。具体的には、食物繊維の多くが取り除かれており、ビタミンも減っています
野菜ジュースには、「ビタミンが足りない」
必要な栄養素は、食事で摂ることが大原則です
でも、食事だけで十分なビタミンやミネラルを摂取できない場合は、どうしたら良いのでしょう?…その場合は、ビタミン強化型ドリンク(例えば、『伊藤園 ビタミン野菜』)を検討してはいかがでしょうか?
米国連邦政府の「Dietary Guidelines for Americans(米国の食事指針)によれば、「栄養の多くを食品や飲料から摂取するべきである」と指摘されています。食品には、健康によいとされるビタミン、ミネラル、食物繊維やその他の成分が含まれています。場合によって、栄養強化食品やダイエタリーサプリメントは、他の方法では1つまたは複数の栄養素の必要量を満たすことができない場合(例えば、妊娠などの特定のライフステージ)に有用です。
引用元:マルチビタミン/ミネラルサプリメント 厚生労働省eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)
野菜ジュースには、「食物繊維が足りない」
野菜ジュースには、食物繊維があまり含まれません。食物繊維摂取が目的であれば、別途、食物繊維豊富な食品(上で上げた朝食例では、フルーツグラノーラやバナナ)を摂取する必要があります
どんな野菜ジュースが市販されているの?
野菜ジュースはとても種類が多く、すべてを比較するのは大変そうです
有名なところでは、次のような商品があります
・カゴメ 野菜生活(オリジナル) <野菜汁70%+果汁30%>
・カゴメ 野菜一日これ一本 <野菜汁100%>
・伊藤園 一日分の野菜 <野菜汁100%>
・伊藤園 ビタミン野菜 <野菜汁・果汁100%(野菜汁分60%)>

色々な野菜ジュースがあるね。どう違うの?

一般的な野菜ジュースで共通しているのは…
水分、βカロテン・カリウム(少々)、炭水化物(糖質)、だよ

意外!それだけなの?!
ビタミン補充には使えないの?

『伊藤園 ビタミン野菜』は、ビタミン補給を意識した製品だね

色々あるんだね!値段が高い野菜ジュースほど、健康にいいと思っていたよ

色々あるけど、野菜そのものの代わりにはならないんだ
例えば、食物繊維は、ほぼ除去されているよ
まとめ:野菜ジュースは、あくまでも補助的な役割です
一般的な野菜ジュースで摂れるのは、ざっくり「βカロテン、カリウム(多くはない)、水分、炭水化物(糖質)」です。野菜の栄養素を手軽に摂れる補助的な手段ですが、野菜の代わりにはなりません。
今回は省略しましたが、市販の「粉末青汁」を水に溶いて飲んでも、そこそこ近い効果は得られるかもしれません。
(※青汁にはカリウムが多く含まれています。医師から腎臓病と言われている方は、医師の指示に従ってください)
野菜ジュースに不足している「食物繊維」や「ビタミン・ミネラル」は、本物の野菜や他の食品で補うことが重要です
「楽して、そこそこ健康に」がズボラ飯のモットー。 野菜ジュースともうまく付き合いましょう
免責事項
・本記事で提供する健康情報は、あくまで一般的な内容であり、一個人としての経験や知見に基づいて発信しています
・紹介する食品や食材を多量に摂取することで、病気が治ったり、健康がより増進するものではありません
・サプリメントや健康食品は、あくまで日々の食事を補う手段の一つです。持病のある方や薬を服用中の方は、自己判断せず、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください
・当サイトでは、個別の健康相談には応じておりません。現在、治療や保健指導を受けている方は、必ず担当医の方針を優先してください
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