「つい食べ過ぎてしまう」「食べ過ぎない方がいいと分かっているけど、やめられない」
…そんな方は少なくありません。
私たちは、なぜ食べ過ぎてしまうのでしょう?
こんにちは、現役内科医の「えま」です。医師歴25年、総合診療部や代謝内科で勤務してきました。一人暮らしの中で、日々の食生活を工夫しながら過ごしています。
以前は太っていましたが、90㎏から60㎏への減量に成功した経験があります。
今回は、食べ過ぎてしまう理由と、その対策を考えます。
「食事・運動・休息・タバコ・お酒」などの生活習慣が、健康に影響します。今回はその中でも“食事”、特に“食べ過ぎ”に焦点を当てます。
食べ過ぎは良くないと分かっていても、食欲は基本的な欲求です。意志だけで、簡単には変えられません。
そして、食べることは「人生の楽しみ」でもあります。
食欲・ストレス・習慣・孤独…食べ過ぎには、これらが関係していそうだというのが、私の意見です。もちろん、状況は人それぞれなので、違うパターンもあるかもしれません。
今回、食べ過ぎで困っている方が「何らかの気付きを得て」、「そこから脱却するヒント」になることを期待して、この記事を書きました。
将来の健康が心配だけど、つい食べ過ぎてしまう。その”はざま”にいる方に、この記事がお役に立てば、望外の喜びです。
なお本記事は、私自身の臨床経験や体験をもとにした一般的な考え方をまとめたものです。
私のダイエット体験記
私は、学校を卒業した時は63㎏くらいでしたが、就職にともなって体重が大きく変動しました。
新卒の研修医の頃、平日は朝7時から夜中1時まで職場にいました。睡眠時間も少なく、エレベーターの中で立ったまま寝たこともあります。食事も不規則でした。
就職して3か月後に58kgまで減りましたが、その後ストレスで食べ過ぎてしまい、80㎏になりました。
その後さらに太りましたが、ダイエットを決意しました。
睡眠・休息を意識したり、「30回噛む&毎日体重を測る」という方法で、90㎏から60㎏への減量に成功しました。
63kg→58kg→80kg→90kg→60kgと、体重が大きく変化したのです。
この記事では、自分が太っていた頃を振り返り、「なぜ太ったのだろう?」「人は、なぜ食べ過ぎるのだろう」と考えたことを述べていきます。
なぜ、食べ過ぎてしまうのだろう?…食欲・ストレス・習慣・孤独などが影響
食べ過ぎてしまう理由は人それぞれです。
食欲・ストレス・習慣・孤独などが影響しますが、今回は性別・年齢ごとにざっくり述べていきます。
「食べ過ぎてしまう、よくあるパターン」…私の考えは、次の通りです。
学生
育ち盛りの子どもたちが沢山食べるのは、ある意味で当然です。
(治療が必要な「太り過ぎ」は、個別対応が必要ですが…)

若い男性、中年男性
「いつまでも、高校生みたいなものを食べる癖が抜けない」

高齢男性
「寂しい、退屈だから、口寂しい」
「もったいないから、残せない」

若い女性、中年女性
「ストレスで、食べてしまう」

高齢女性
「特に理由はないが、間食をする習慣を繰り返している」

それでは、このシンプルな分類をもとに「食べ過ぎ対策」を考えていきます。
食べ過ぎ問題…ざっくりとした「傾向と対策」を考えます
「食べ過ぎはからだに良くありませんよ」と、保健指導を受けた方もおられるかもしれません。
しかし、そんなことを言われても、食欲を抑えることは難しいはずです。痩せろと言われて簡単に痩せられたら、苦労はありません。
食欲は、基本的な欲求の一つです。
「自然にわいてくる食欲に逆らう」ことは、簡単ではありません。
学生
育ち盛りの子どもたちがそれなりに食べるのは、ある意味で「あたり前」です。成長や活動には、ある程度の栄養が必要だからです。
特に思春期の女子は、少しふっくらしていても普通です。「痩せている方が美しい」という価値観を押し付けられて、思い悩む子は少なくありません。
なお、摂食障害であったり、太り過ぎにともなう病気を発症している場合は、医師による個別対応が必要です。個別ケースなので、今回は取り上げません。
若い男性、中年男性
「いつまでも、高校生みたいなものを食べる癖が抜けない」という男性は、結構おられます。お腹いっぱいから揚げを食べて、ご飯はいつも大盛り。でも、あまり運動はしない。そんな生活を続ければ、当然太ります。
人間には、「年相応(としそうおう)」というものがあります。
若いころは美味しいと思えなかった和食が、年とともにだんだん好きになっていき、脂っこいものは「そんなに要らない」となる方が多いのです。
中学生や高校生の頃と同じようなものを食べていて、太っているならば、「食べるものの中身や量」を見直す時期だと言えます。
高齢男性
高齢男性が食べ過ぎてしまう理由は、意外に複雑です。
- 間食で、心のスキマを埋めている
- 『節約のつもり』で割引のお菓子を買い、つい食べてしまう。
- 体に良いと思って買ったナッツを食べ過ぎており、高カロリーであることに気づいていない
- お腹が膨れていても、残すのはもったいないから、目の前にある食事を全部食べてしまう
- 一つ一つは些細なことですが、これが毎日続くことが問題です。特に高齢になると、食習慣の問題は健康に直結します。
「家で、することがない」「お金がない」「食べることしか楽しみがない」。そうなれば、食べ過ぎるのは「あたり前」かもしれません。
さらに、「食べたいものを我慢してまで、長生きしたくない」という方もおられるようです。
簡単な解決方法はありませんが、対策としては次のようなものが考えられます。
- 食べること以外に、楽しみや趣味をみつける。人と会ったり、体を動かす趣味ならベスト
- 「安いから」という理由で、お菓子を買わない
- 栄養の知識を身につける(よろしかったら、この連載をご活用ください)
- お腹が満たされているか?自分のお腹を確認する。食べ過ぎならば、残す勇気を持つ
「もったいないから、全部食べるんだ」と食べ過ぎると、健康を損なうことがあります。
健康を失う方が、もっと「もったいない」といえます。
また、小さな行動一つでも、「食べること以外の楽しみ」は案外見つかるものです。
昨日までの習慣を見直したり、行動を変化することはちょっとしたストレスです。
しかし、そこを楽しめれば、何か変わるかもしれません。
若い女性、中年女性
あくまで私が臨床で“多く見かけた傾向”ですが、「ストレスで、食べてしまう」という方が、少なくありません。頑張り過ぎなのかもしれませんね。
- 自分は何を我慢しているか?
- いま、我慢しなくて良いことは何か?
- 楽に自由に生きるために、どうしたらいいのか?
食生活の見直しは、「自分を探す旅」だと思います。必要に応じて医療機関・大学付属の臨床心理相談でカウンセリングを受けるなどをご検討ください。
中年女性、高齢女性
「間食をする習慣」の方が多いイメージです。
職場や友人同士でお菓子を勧めあう場面で、「私はいらないわ」と言うと、人間関係に影響するかもしれません。
人付き合いも大切なので、少し難しい問題です。
- みんなの前でダイエットを宣言して、「ちょっとお菓子を控えてみるわ」と言ってみる
- 他の人のためにお菓子は提供するけど、自分は食べない
そんなふうに、ご自身の状況にあわせて工夫するしてみましょう。
なお、「買い物のついでに、いつもお菓子を買ってしまう」という方は、家の「お菓子置き場」を整理・処分することをお勧めします。
「夕食後にお菓子をだらだら食べてしまう習慣」→「夕食後はさっさと歯を磨き、早めに寝る」というふうに、習慣自体を一気に変えるのも良いかもしれません。
しかし、習慣を変えるには、ちょっと覚悟が必要です。「えいや!」と気合いを入れないと、習慣は変わりません。
食べ過ぎ習慣でお困りでしたら、ご検討ください。
まとめ
今回は、「なぜ食べ過ぎてしまうのだろう?」という話題を取り上げました。
食生活の見直しは、「自分を探す旅」です。
- 自分の立ち位置はどこなのか?
- 自分が大切にしたいものは何なのか?
- 過去に役立っていた習慣が、今の自分を苦しめていないか?
- もう手放すべき価値観や考え方は何なのか?
そこを振り返ることが、食べ過ぎ対策に有効だと、私は思います。
本記事でお伝えした内容は、私自身の臨床経験や日常の実感をもとに、「食べ過ぎ」という行動をどう捉えるかを考えたものです。
科学的根拠に基づく治療や、個別の医療的判断を示すものではありません。
もし体重増加や食行動について強い不安がある場合や、病気が関係している可能性がある場合は、必ず医療機関での個別相談を優先してください。


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