ハンバーガーは手軽で、ごみ捨ても簡単。「ちょっと高いかな…?」と思いつつ、つい利用してしまいます。ですが、栄養バランスが気になる方も多いでしょう。「野菜が少ないのでは?」「ポテトの塩分は大丈夫?」と心配になることもあるはずです
こんにちは、私は現役内科医師の「えま」です。医師歴25年、総合診療部や代謝内科で勤務してきました。一人暮らしをしています
「ハンバーガーショップの食事は体に悪い」と思われがちです。不安をあおる記事や動画も多く見かけますが、本当にそうでしょうか?この記事では栄養素の特徴と、バランスの良いメニューを考えます
ハンバーガーショップで売っている商品の主な特徴として、
①全体的に塩分が多い
②セットにするとカロリーが増えやすい
③バーガーはたんぱく質は確保できるが脂質が多い
④ポテトは脂質が多く、たんぱく質が少ない
…という点が挙げられます
バーガーショップで食べるときは、メニューの組み合わせ方で栄養バランスが変わります。おすすめは「バーガーは単品を持ち帰り、飲み物やサラダはスーパーやコンビニで購入する方法」です
この記事を読めば「ハンバーガーは食べてよいのか?」と迷うとき、自分に合った選び方のヒントになるはずです。少しでも参考になれば幸いです
ハンバーガーの栄養は「悪い」とは限らない
ハンバーガーは「高カロリーで体に悪い」と思われがちです。しかし実際には、肉やチーズを使っているため、たんぱく質はしっかり摂れることが多いです
一方で、脂質と塩分がかなり多めという特徴があります。パン、肉、ソースを合わせると、あっという間に一食で必要量を超えることもあります。野菜が少ないので、食物繊維も不足しがちです
ハンバーガーは「悪い食事」ではなく、「工夫が必要な食事」と考えるのが現実的です
カロリーと塩分に注意しよう
ハンバーガー単品は、意外とカロリーが控えめな場合もあります。しかし、ポテトやドリンクをセットにすると、900kcalを超えることも珍しくありません
また、塩分は一食で3〜4gを超える商品もあり、一日あたり塩分推奨量の半分を占めてしまうことがあります。とくに高血圧や腎臓病が気になる人は注意が必要です
ポテトは、塩分よりも「脂質」に要注意
フライドポテトは「しょっぱい食べ物」と思われています。しかし実際には塩分よりも脂質が問題です。油を多く吸っており、たんぱく質は少ないので、食べ過ぎるとバランスを崩しやすいのです
ポテトはSサイズ(小サイズ)を選んだり、サイドメニューをサラダやチキンナゲットに置き換えるのも有効です
実際の商品を見てみよう
ハンバーガーショップの実際の商品を見ることで、これまでの振り返りをしてみます
マクドナルド、モスバーガー、ロッテリア、バーガーキング、フレッシュネスバーガー各社の製品を、私の独断で選んでみました
引用元…
日本マクドナルドHDウェブサイト
モスバーガー ウェブサイト
ロッテリア ウェブサイト
BURGER KING ウェブサイト
フレッシュネスバーガー ウェブサイト

ダブルチーズバーガー
脂質・塩分多め
- エネルギー(kcal):459
- たんぱく質(g):26.4
- 脂質(g):25.1
- 炭水化物(g):31.8
- 食塩相当量(g):2.9

えびフィレオ
脂質・塩分多め
- エネルギー(kcal):399
- たんぱく質(g):11.0
- 脂質(g):17.1
- 炭水化物(g):50.9
- 食塩相当量(g):2.3

てりやきマックバーガー
脂質多め
- エネルギー(kcal):477
- たんぱく質(g):14.5
- 脂質(g):30.2
- 炭水化物(g):37.5
- 食塩相当量(g):2.1

倍ビッグマック
「夜マック」限定商品で、パティ(肉)が4枚。カロリー・脂質・塩分多め
- エネルギー(kcal):732
- たんぱく質(g):41.3
- 脂質(g):43.1
- 炭水化物(g):42.1
- 食塩相当量(g):3.6
「夜マック」限定商品で、パティ(肉)が倍です。倍ビッグマックのパティは4枚

マックフライポテト(M)
脂質多め
- エネルギー(kcal):409
- たんぱく質(g):5.5
- 脂質(g):19.8
- 炭水化物(g):52.4
- 食塩相当量(g):0.7

チキンマックナゲット 5ピース
脂質多め。塩分やや多い
- エネルギー(kcal):262
- たんぱく質(g):15.3
- 脂質(g):15.9
- 炭水化物(g):14.4
- 食塩相当量(g):1.2

サイドサラダ+焙煎ごまドレッシング
サイドメニューで野菜多いのは、これ
- エネルギー(kcal):10+65=75
- たんぱく質(g):0.5+0.4=0.9
- 脂質(g):0.1+5.9=6.0
- 炭水化物(g):2.3+2.3=4.6
- (食物繊維(g):0.8+0.1=0.9)
- 食塩相当量(g):0.0+0.6=0.6

コカ・コーラ(M)
栄養素は炭水化物(糖質)のみ
- エネルギー(kcal):145
- たんぱく質(g):0
- 脂質(g):0
- 炭水化物(g):36.5
- 食塩相当量(g):0

プレミアムローストコーヒー(M)
- エネルギー(kcal):12
- たんぱく質(g):0.6
- 脂質(g):0
- 炭水化物(g):2.1
- 食塩相当量(g):0

モスバーガー(モス)
脂質・塩分やや多め
- エネルギー(kcal):373
- たんぱく質(g):15.2
- 脂質(g):17.0
- 炭水化物(g):40.1
- 食塩相当量(g):2.3

テリヤキバーガー(モス)
脂質・塩分やや多め
- エネルギー(kcal):384
- たんぱく質(g):14.4
- 脂質(g):18.2
- 炭水化物(g):40.6
- 食塩相当量(g):2.7

モスの菜摘(なつみ)モス野菜
カロリー低。野菜多め
- エネルギー(kcal):224
- たんぱく質(g):9.1
- 脂質(g):16.5
- 炭水化物(g):10.4
- 食塩相当量(g):1.3

モスライスバーガー焼肉
栄養バランス良い
- エネルギー(kcal):353
- たんぱく質(g):9.5
- 脂質(g):11.6
- 炭水化物(g):52.8
- 食塩相当量(g):1.1

オニポテ(フレンチフライポテト&オニオンフライ)
たんぱく質は少ない
- エネルギー(kcal):189
- たんぱく質(g):2.6
- 脂質(g):8.7
- 炭水化物(g):25.3
- 食塩相当量(g):0.7

ペプシコーラ(M)
栄養素は炭水化物(糖質)のみ
- エネルギー(kcal):129
- たんぱく質(g):0
- 脂質(g):0
- 炭水化物(g):31.9
- 食塩相当量(g):0

エビバーガー(ロッテリア)
脂質多い、塩分多め
- エネルギー(kcal):418
- たんぱく質(g):10.9
- 脂質(g):23.2
- 炭水化物(g):41.5
- 食塩相当量(g):2.5

絶品チーズバーガー(ロッテリア)
脂質かなり多い、塩分多め
- エネルギー(kcal):515
- たんぱく質(g):18.5
- 脂質(g):36.6
- 炭水化物(g):29.4
- 食塩相当量(g):2.5

ワッパー(バーガーキング)
脂質・塩分多い
- エネルギー(kcal):672
- たんぱく質(g):28.2
- 脂質(g):39.9
- 炭水化物(g):50.8
- 食塩相当量(g):3.0

アボカドワッパー ジュニア(バーガーキング)
「ジュニア」なので小サイズ。カロリー控えめ、脂質割合多め
- エネルギー(kcal):370
- たんぱく質(g):14.2
- 脂質(g):21.9
- 炭水化物(g):30.2
- 食塩相当量(g):1.4

クラシックチーズバーガー(フレッシュネスバーガー)
脂質多い、塩分多め
- エネルギー(kcal):584
- たんぱく質(g):25.1
- 脂質(g):34.5
- 炭水化物(g):38.5
- 食塩相当量(g):2.6

塩レモンチキンバーガー(フレッシュネスバーガー)
脂質多め
- エネルギー(kcal):412
- たんぱく質(g):14.9
- 脂質(g):21.5
- 炭水化物(g):38.8
- 食塩相当量(g):2.3
栄養バランスを整える「組み合わせ」
バーガーショップで食べるときは、メニューの組み合わせ方で栄養バランスが変わります
例1)『ダブルチーズバーガー+マックフライポテト(M)+コカ・コーラ(M)』
・エネルギー(kcal):459+409+145=1,013
・たんぱく質(g):26.4+5.5+0=31.9
・脂質(g):25.1+19.8+0=44.9
・炭水化物(g):31.8+52.4+36.5=120.7
・食塩相当量(g):2.9+0.7+0=3.6
→ エネルギー(カロリー)多い、たんぱく質適正、脂質多い、炭水化物適正、塩分多い、野菜が少ない
例2)倍ビッグマックー+サイドサラダ(胡麻ドレッシング)+コーヒー(M)
・エネルギー(kcal):732+75+12=819
・たんぱく質(g):41.3+0.9+0.6=42.8
・脂質(g):43.1+6.0+0=49.1
・炭水化物(g):42.1+4.6+2.1=48.8
・食塩相当量(g):3.6+0.6+0=4.2
→サイドメニューがサラダなので、カロリーが比較的抑えられている。 たんぱく質は十分、脂質多い、炭水化物は少なめ、塩分多い
例3)モスの菜摘(なつみ)モス野菜+オニポテ(フレンチフライポテト&オニオンフライ)+水
・エネルギー(kcal):224+189=413
・たんぱく質(g):9.1+2.6=11.7
・脂質(g):16.5+8.7=25.2
・炭水化物(g):10.4+25.3=35.7
・食塩相当量(g):1.3+0.7=2.0
→カロリー・たんぱく質・炭水化物は少なめ、脂質の割合が高い、塩分は適正。このセットでは、成人男性ならばお腹がすくかもしれない
例4)モスの菜摘(なつみ)モス野菜+モスライスバーガー焼肉+ペプシコーラ(M)
エネルギー(kcal):224+353+129=706
たんぱく質(g):9.1+9.5+0=18.6
脂質(g):16.5+11.6+0=28.1
炭水化物(g):10.4+52.8+31.9=95.1
食塩相当量(g):1.3+1.1+0=2.4
→脂質がやや多めだが、野菜もあり、ほぼ適正。意外だが、比較的良い組み合わせ
バーガーの脂質・塩分が多すぎる場合、1食のメニュー組み合わせで解決するのは困難。次の食事で調整するなど、1日トータルでの調整が必要です。詳しくは、「チャーハン」の記事を参考になさって下さい
外食で栄養バランスが崩れたら、次の食事で調整すればOK。「次の食事は、塩分控えめにする」「少し食べすぎたかな?と思ったら、次の食事で軽めに調整する」「足りない栄養素は、次の食事で意識して補う」ということです
引用元:【チャーハン…中華の外食をどう食べる?】
節約も兼ねたハンバーガー活用術
ハンバーガーは、コンビニ弁当よりも安く済むこともあります。特に昼食として利用すると、食費の節約につながります。ただし、サイドメニューやデザートを追加すると高額になりやすいので注意が必要です
おすすめは「バーガーは単品を持ち帰り、飲み物やサラダはスーパーやコンビニで購入する方法」です。事前に買っておけば、無理なく節約できます。ただし、食材や飲料の店内持ち込みはマナー違反なので、テイクアウトして節約セットを楽しみましょう
まとめ…ハンバーガーを食べるときは、他の食品との組み合わせと経済性を考えよう
ハンバーガーやサイドメニューは脂質や塩分が多いので注意が必要です。食べるときは野菜不足を意識し、スーパーやコンビニを上手に活用してバランスを整えましょう。「どう工夫すれば自分の体に合った食べ方ができるか」を考えることが大切です
免責事項
・本記事で提供する健康情報は、あくまで一般的な内容であり、一個人としての経験や知見に基づいて発信しています
・紹介する食品や食材を多量に摂取することで、病気が治ったり、健康がより増進するものではありません
・サプリメントや健康食品は、あくまで日々の食事を補う手段の一つです。持病のある方や薬を服用中の方は、自己判断せず、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください
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