かつ丼は外食の人気メニューです。サクサクとした衣の食感とジューシーなお肉を、炊き立てご飯とともに味わう。定番のロースかつを卵でとじた「かつ丼」に加え、「味噌ロースかつ丼」「ソースかつ丼」などもあります。美味しいのですが、健康もちょっと気になる。せっかく食べるのですから、気分よく食べたいですね
こんにちは、現役内科医師の「えま」です。医師歴25年、総合診療部や代謝内科で勤務してきました。一人暮らしの中で、日々の食生活を工夫しています
かつ丼は「体に悪そう」と思われがちですが、実はたんぱく質やビタミンも豊富。ただし、「塩分が多い」「脂質・カロリーが多い」「野菜が足りない」という問題点があります。特に大盛にするとバランスが崩れます。「糖質と脂と塩分」…体に悪いと分かっていても、つい食べたくなる魅力的な組み合わせです
この記事では、かつ丼を食べる際の注意点や、意識すべきポイントを“ズボラ飯”視点で解説します。読むと、外食でも無理なく健康管理ができるコツが分かります結論はシンプルです
①大盛にしない ②衣やタレが多い部分を少し残す ③塩分の多い”みそ汁”や”漬物”を控える・残す ④野菜サラダを一品追加する ⑤次の食事で調整する
せっかくの食事です。おいしく食べながら、体のことも少し気にかけてみましょう
かつ丼の栄養を見てみよう
まずは、かつ丼の栄養成分を確認しておきましょう。松のや公式サイトによると、ロースかつ丼(並盛)の栄養は以下の通りです

・カロリー
成人男性の1日推奨エネルギー量は約2200kcal前後、女性では約1800kcal前後。かつ丼1杯で、1食分としてはカロリーが高めです。さらにご飯を大盛りにすると1190kcalとなり、カロリーオーバーです
・脂質
脂質が41.4gも含まれており、これがカロリーを押し上げています
・塩分
厚生労働省の1日塩分目標(食塩相当量:男性7.5g・女性6.5g)から考えると、5.5gはとても多い。かつ丼一杯で、一日分に迫るほどです
・たんぱく質
たんぱく質が40g近くある点は優秀です。鶏卵と豚肉の両方から質の良いたんぱく質が摂れます。つまり、「悪者にしすぎるのはもったいない」メニューでもあります
塩分と脂質は“衣”に潜んでいる…衣を少し残そう!

衣を残すのはもったいない…。そこが一番おいしいのに!

食べても良いんですが、摂り過ぎが良くないんです
衣を少しでも残すと、塩分・脂質は確実に減らせます
かつ丼の塩分は、タレと衣に多く含まれます。タレが多く染み込んだ部分や、衣の油を少し残すだけでも、塩分を自然にカットできます
また、衣には脂質が多く含まれています。脂質は少しの量で高カロリーなので、少し残すだけでもかなりのカロリーカットが可能です「衣が一番好きなのに…。一番美味しいところを残すのはもったいない!」と感じるかもしれません。全部残す必要はありません、余分な分だけ残すのです。(衣を全部外してしまえば、何を食べているのか分からなくなりますよね)
美味しく食べた上で余分な衣を残す。そうすることで、心も体も満足できるはずです。塩分・脂質の摂り過ぎ対策で、これはとても重要なポイントです
塩分の多い”みそ汁”や”漬物”を控える・残す
外食では「みそ汁」「漬物」がセットで出てくることがあり、これがさらに塩分を上乗せします。 実際に、かつ丼(5.5g)+みそ汁(1.5g)+漬物(1g)で、合計8g前後の塩分になることもあります。これは、明らかに塩分の摂り過ぎです
塩分摂りすぎ生活が続くのは、体に良くありません。今あるこの体を一生使うのですから、塩分にも気を配る必要があります
水を飲んでも、塩分摂り過ぎはリセットできない
塩分の多い食事のあとは、のどが渇きます。塩分を摂りすぎたあとに「水を飲めば塩分が出て行ってリセットできる」と思う人がいますが、正しくありません
塩分摂りすぎ対策で大切なのは、「味噌汁や漬物を減らす」「タレが濃くしみ込んだ衣を、少し残す」「次の食事で塩分を控える」といった、ちょっとした積み重ねです
彩りのない食事は、栄養が偏っているサイン…野菜サラダを一品追加しよう!

野菜は高いから、つい丼だけで済ませちゃう

追加料金を払って大盛にしていませんか?そのお金を野菜サラダに使ってみては?だまされたと思って、試しに一度やってみてください
かつ丼の問題点は、糖質・脂質・塩分が多いのに、野菜がほとんど入っていないことです
かつ丼のメインはご飯と揚げ物… 「茶と白色」ばかりで彩りが少ないのは、栄養バランスが崩れているサインです
野菜サラダを一品追加することで、栄養のバランスを整えましょう。追加料金を払って大盛にするよりも、サラダの方が良さそうです
また、サラダ → かつ丼の順に食べることで、満足感を得やすくなるはずです

茶と白色ばかりの食事は、バランスが悪いのですか?

少なくとも、緑や赤色が全然ない食事は、野菜が足りない感じですよね
一人暮らしだからこそ、“調整力”が大事…食べ過ぎた後は、次の食事で調整しよう
一人暮らしでは、自炊を続けることが難しい場合もあります。 外食やテイクアウトを取り入れること自体は悪くありません。 むしろ、選び方と食べ方を工夫すれば、健康的に楽しめるのです。
食べ過ぎた場合は、「次の食事を軽めにする」ことが大切です。夜に食べたなら翌日の朝や昼は軽めに、昼に食べたなら夜は野菜中心など、1日全体でバランスをとる意識を持つと良いでしょう
食べ物を制限しすぎると、心の満足感まで失われます。自分を責め過ぎず、無理なく続けられる工夫を続けて、少しずつバランスを整える。それが、ズボラ一人暮らしでも可能な“健康的な食べ方”です
まとめ
かつ丼は高カロリー・高塩分の代表格と思われがちですが、たんぱく質源としては優秀な一品です。大切なのは次の5点です
- 大盛にしない
- 衣やタレが多い部分を少し残す
- 塩分の多い”みそ汁”や”漬物”を控える・残す
- 野菜サラダを一品追加する
- 次の食事で調整する
食事を「我慢」ではなく「選択」「工夫」としてとらえると、外食の楽しみが広がります。今日のあなたの一食が、楽しく、未来の健康につながりますように
関連記事の紹介
野菜は足りていますか?自炊しない一人暮らしでは、野菜不足になりがちです。カット野菜や冷凍野菜も使えます!詳しくは、【野菜不足のあなたへ】一人暮らし医師のズボラ飯をご覧ください
「かつ丼は飲み物」「カレーは飲み物」…噛まずに丸呑みすると、体にどう影響するのでしょうか?詳しくは、【よく噛むことは、面倒くさい?!】一人暮らし・ズボラ飯を考えるをご覧ください
宅配弁当を上手く使えば、バランスに配慮した色々な食材を楽しめます。詳しくは、【宅配弁当】一人暮らし・ズボラ飯を考えるをご覧ください
かつ丼は安くはありません。予算の範囲内で生活できていますか?家計管理や食費について、詳しくは、【『自炊しない』人の食生活】食費・栄養・孤食…医師からの提案をご覧ください
免責事項
・本記事で提供する健康情報は、あくまで一般的な内容であり、一個人としての経験や知見に基づいて発信しています
・紹介する食品や食材を多量に摂取することで、病気が治ったり、健康がより増進するものではありません
・サプリメントや健康食品は、あくまで日々の食事を補う手段の一つです。持病のある方や薬を服用中の方は、自己判断せず、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください
・当サイトでは、個別の健康相談には応じておりません。現在、治療や保健指導を受けている方は、必ず担当医の方針を優先してください







コメント