レトルトカレーは、一人暮らしズボラ飯の強い味方。レンジや湯せんで温めるだけで、あっという間に一食が完成します。チーズやカツをのせれば豪華な一皿になりますし、洗い物も最小限で済むのがうれしいポイント。でも、「ちょっと油っこいな」「なんとなく体に悪そう…?」と思ったことはありませんか?
こんにちは、私は現役内科医師の「えま」です。医師歴25年、総合診療部や代謝内科で勤務してきました。一人暮らしをしています
今回は「レトルトカレー1袋+ご飯200g」の栄養素を確認し、摂りすぎ・不足している栄養素について考えます。結論から言うと、レトルトカレーライスは炭水化物と塩分が多く、たんぱく質と野菜が不足しています
手軽で美味しいからこそ、つい頻繁に食べたくなる。でも健康面は気になる…。そこで、食べ方を少し工夫することで栄養バランスがぐっと良くなります。具体的には「納豆トッピング」と「簡単な野菜追加」がおすすめです
この記事を参考に、より気軽に・健康的にズボラ飯を楽しんでいただければ幸いです
レトルトのカレーライスだけでは、たんぱく質と野菜が足りません
レトルトカレー、そのものの栄養は?
「レトルトカレーだけを食べる」ことは、あまりないと思います。通常はご飯にかけ、チーズやカツなどをトッピングするでしょう。では実際の栄養成分を見てみましょう。代表として「ボンカレーゴールド<中辛>」を例にします

- エネルギー:154kcal
- たんぱく質:4.3g
- 脂質:6.5g
- 炭水化物:20.7g
(糖質:18.5g、食物繊維:2.2g) - 食塩相当量:2.3g
・脂質からのエネルギーは、6.5g×9kcal=58.5kcalで、全体の約38%を占めています。つまり、カロリーの4割近くが脂質由来です
・食塩相当量2.3gは、1日の目標(男性7.5g未満、女性6.5g未満)から見ると、1品としてはやや多めです

カレールーを手作りするときは、スパイス、小麦粉、大量のバターを使います
バターが多い分、脂質も多めになるんです
ボンカレーゴールド<中辛>をご飯200gにかけたら、栄養は次の通りです
- エネルギー:466kcal
- たんぱく質:9.3g
- 脂質:7.1g
- 炭水化物:94.9g(糖質:89.7g、食物繊維:5.2g)
- 食塩相当量:2.3g

ボンカレー<中辛>をご飯200gにかけたカレーライスの栄養は…
・多いもの…炭水化物、塩分(食塩相当量)
・足りないもの…エネルギー(カロリー)、たんぱく質、脂質(不飽和脂肪酸が足りない)、ビタミン、ミネラル
適切なカロリー、栄養バランスが大切です。レトルトのカレーライスを食べるときは、①たんぱく質を含んだおかず(トッピング)、②野菜、③良質な脂質が、「良い感じ」で加われば良いです!
トッピングは何が良い?…納豆カレーは悪くないチョイス!
カレーライスには、何をトッピングしますか?今回は、「卵、とんかつ、ハンバーグ、カニクリームコロッケ、納豆、チーズ」で考えてみます
とんかつ(135g)
- エネルギー:442kcal
- たんぱく質:18.9g
- 脂質:30.3g
- 炭水化物:23.9g
- 食塩相当量:0.9g
ハンバーグ(120g)
- エネルギー:268kcal
- たんぱく質:16g
- 脂質:16g
- 炭水化物:14.8g
- 食塩相当量:1.5g
カニクリームコロッケ(1個65g)
- エネルギー:194kcal
- たんぱく質:2.8g
- 脂質:13.6g
- 炭水化物:14.6g
- 食塩相当量:0.7g
卵(殻付き卵1個60gの可食部)
- エネルギー:74kcal
- たんぱく質:6.3g
- 脂質:5.3g
- 炭水化物:0.21g
- 食塩相当量:0.21g
納豆(1パック50g)
- エネルギー:92kcal
- たんぱく質:8.3g
- 脂質:5g
- 炭水化物6.1g(糖質:1.3g、食物繊維:4.8g)
- 食塩相当量:0g
(納豆タレをかけない場合)
スライスチーズ(1枚15g)
- エネルギー:53kcal
- たんぱく質:3.6g
- 脂質:4.2g
- 炭水化物(糖質:0.4g、食物繊維:0g)
- 食塩相当量:0.26g
カレーのトッピングとして考えると、とんかつは脂質が多すぎる、カニクリームコロッケではたんぱく質を補えない、ハンバーグは塩分が少し多い。そんな傾向がありそうです

このカレーライスに卵、納豆、チーズをまとめてトッピングしたら、どうなんでしょう?

カロリーは685kcalで、栄養バランスは悪くないです
特に納豆にはたんぱく質、ミネラル、ビタミン、食物繊維が豊富なので、カレーライスで足りないものを補っています

納豆カレーは悪くない、と。でも、好き嫌いが分かれますね

そうですね。あとは、野菜も食べたいところです
野菜も食べよう…手軽なカット野菜や冷凍ブロッコリーでOK

外出したくない日にインスタントカレー食べるのに、わざわざ野菜サラダを買いに行くのは面倒なんですよね…

冷凍庫に『冷凍ブロッコリー』を常備しておけば?

冷凍ブロッコリーは、『スーパーのお弁当』の時も言ってましたよね?本当に大丈夫なんですか?

野菜類が全くないより、かなり良いよ
レタスをちぎってキュウリを切って、特製サラダを自作するなら、それでもいいよ

いやいや、それが面倒なんですよ

ズボラ飯に完璧を求めるのは難しいですよ
まずは、『そこそこ健康的』を狙いましょう!
カレーライス+トッピングだけでは、野菜が不足します。そこで大切なのは、「足りないものをちょっと足す」ことです。おすすめの具体例を紹介します
野菜不足を補うには
手軽に手に入るカット野菜がおすすめです。袋入りのサラダをそのままお皿に盛り、ドレッシングをかけるだけで一品完成。「洗う?切る?…今日はそんな元気ない!」という日でも大丈夫です
また、冷凍ブロッコリーを電子レンジで温めて食べるのも手軽な方法。ドレッシングではなく「オリーブオイルと塩」で食べれば、必要な不飽和脂肪酸も摂れます。彩りも加わって、ちょっと料理上手になった気分になれます
ビタミン類の不足を補うには
マルチビタミンのサプリメントも選択肢の一つ。特に忙しい平日は、食材からすべての栄養素を摂るのが難しいため、補助的に取り入れるのも現実的な方法です
マルチビタミンサプリメントについては、『菓子パン・惣菜パン』の記事も参考にしてください
<まとめ> レトルトカレーは「悪者ではない」…ちょっとした工夫で、栄養バランスは整います
レトルトカレーは忙しい日、手間が面倒な日に助かるありがたい存在。食べ方を工夫すれば、そこそこ健康的になります。
たんぱく質(納豆トッピングがおすすめ)をプラスして、簡単な野菜を添えて。せっかく食べるのですから、ちょっと工夫してみませんか?ほんの少し意識を変えるだけで、罪悪感なく、むしろ「今日はこれでOK」と安心して味わえる一皿になります。自分なりの“健康アレンジ”を見つけるのも楽しいですよ
免責事項
・本記事で提供する健康情報は、あくまで一般的な内容であり、一個人としての経験や知見に基づいて発信しています
・紹介する食品や食材を多量に摂取することで、病気が治ったり、健康がより増進するものではありません
・サプリメントや健康食品は、あくまで日々の食事を補う手段の一つです。持病のある方や薬を服用中の方は、自己判断せず、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください
・当サイトでは、個別の健康相談には応じておりません。現在、治療や保健指導を受けている方は、必ず担当医の方針を優先してください
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