「今日は疲れたから、ごはんはお菓子で済ませよう」…そんな日、ありませんか?ついお菓子でお腹を満たしたくなる気持ちは、よく分かります。
ポテトチップスやクッキー、アイスや揚げせんべい。どれも手軽で美味しいですが、栄養的に「食事の代わり」になるのでしょうか
こんにちは、現役内科医師の「えま」です。医師歴25年、総合診療部や代謝内科で勤務してきました。一人暮らしをしています
この記事では「お菓子を食事にすると栄養はどうなるか?」を、具体的な例をもとに整理しました
結論を先に言うと…
・お菓子は「エネルギー源」にはなるけれど、たんぱく質(体をつくる材料)やビタミン・ミネラル(体調を整える栄養)は不足しやすい
・食べるなら、量を決めて楽しみましょう
・食事代わりにするなら、足りない栄養を飲み物や”ちょい足し食材”で補う工夫が大切
・難しく考えすぎず、ざっくり1日全体で栄養が良くなれば、まずはOK
せっかく食べるなら、罪悪感ではなく楽しみながら食べるのが良いですよね。お菓子をちょっと健康的に食べるヒントをお届けします
ポテトチップス : 脂質メインで、たんぱく質は少ない

ポテトチップスは、ごはんの代わりになりますか?

これだけでは栄養が足りません。たんぱく質や野菜を補えば、調整は可能です

カルビー ポテトチップス(うすしお味)
栄養成分表示 1袋55g (推定値)
エネルギー:308kcal
たんぱく質:2.8g
脂質:19.8g
炭水化物:29.7g
食塩相当量:0.5g
ポテトチップス1袋(55g)でおよそ300kcal。ご飯1杯分(約240kcal)よりカロリーがあります。栄養成分は脂質と炭水化物が中心で、たんぱく質は3g前後と少ない。ビタミンやミネラルも控えめです
ポテトチップスは、「お腹は満たされても、体をつくる材料(たんぱく質)は不足しがち」なのが特徴です
クッキー :甘くて幸せ。たんぱく質は少ない

不二家 カントリーマアム
成分栄養表示 1枚(標準10g)当たり(推定値)
エネルギー:48kcal
たんぱく質:0.5g
脂質:2.3g
炭水化物:6.3g
食塩相当量:0.044g
小麦粉、砂糖、チョコチップなどで作られているので、栄養成分は炭水化物と脂質が中心です。たんぱく質は少ない。あれ?ポテトチップスと特徴が似ていますね
あなたは何枚食べますか?1袋(18枚)すべて食べると864kcalであり、1食分のカロリーに相当します
ポテトチップスと同様に、カントリーマアムも、「お腹は満たされても、体をつくる材料(たんぱく質)は不足しがち」なのが特徴です
歌舞伎あげ(揚げせんべい) :香ばしくてつい手が伸びる

天乃屋 歌舞伎揚
成分栄養表示 1枚当たり
エネルギー:63kcal
たんぱく質:0.7g
脂質:3.6g
炭水化物:7.0g
食塩相当量:0.2g
サクサクと香ばしい歌舞伎揚げ。1袋全部食べると11枚で約700kcalであり、1食分のカロリーに相当します。原材料はうるち米、植物油、砂糖が主であり、成分は炭水化物と脂質が中心です。たんぱく質は少ない
ポテトチップスやカントリーマアムと、特徴が似ています。つまり、「お腹は満たされても、体をつくる材料(たんぱく質)は不足しがち」なのが特徴です
また、1袋全部食べると食塩相当量は2.2gです。ラーメン等の外食と比べて少ないですが、食事1食分の塩分に相当します
「美味しくて手が止まらず、気付いたら袋が空いていた…」となりやすいので、取り分けて楽しむのがおすすめです。歌舞伎揚を食事代わりにすると、どうしてもたんぱく質やビタミン・ミネラルは不足します
アイスクリーム・ラクトアイス:さっぱりリフレッシュ用

ロッテ 爽(ラクトアイス)
成分栄養表示 1個当たり
エネルギー:230kcal
たんぱく質:3.2g
脂質:11.4g
炭水化物:28.6g
食塩相当量:0.19g
バニラのおいしさとすっきりとした後味が楽しめるアイスです。原材料は砂糖、植物油脂、乳製品が主であり、成分は炭水化物と脂質が中心です。たんぱく質は少ない
ポテトチップスやカントリーマアム、歌舞伎揚と特徴が似ています。つまり、「体をつくる材料(たんぱく質)が不足しがち」です
「お腹を満たす」よりは「気分を切り替える」役割の方が大きい食品。これだけで食事代わりにすると、栄養が偏ります
お菓子だけでは「食事代わりにならない」…たんぱく質や野菜が足りない
お菓子そのものを否定する必要はありません。美味しいお菓子は、心が喜びます。しかし、お菓子だけでは食事の代わりになりません。あえて食事の一部にするなら、「食べ過ぎない」「たんぱく質や野菜を、他のもので補う」ことが重要です
食べ過ぎないコツ
・あえて「よく噛む」
・大きな袋から取り出しながら食べるのではなく、食べる量を決めて、取り出しておいて食べる
・最初に決めた量を守る。「もう一つ食べたいな」という誘惑から、気をそらす工夫をする
たんぱく質や食事を他のもので補うコツ
・牛乳や豆乳、プロテインドリンクを一緒に飲んで、たんぱく質を補う
・果物や野菜を合わせて、ビタミンや食物繊維をプラス。カット野菜や冷凍ブロッコリーを手軽に利用
・サラダチキンなどの、たんぱく質を含む食品と組み合わせる
【参考記事】
サラダチキン: 朝食におすすめ!
野菜不足のあなたへ
プロテイン飲料: 朝食におすすめ!
特に中高年の方は、間食で体重が増えやすくなります。無理に我慢するのではなく、「1日全体で、栄養のつじつまが合うように調整する」「食べ過ぎないように気を付ける」「足りない栄養は他で補う」と考えると、続けやすいです
栄養に関しては、まずはざっくりで構いません。栄養は細かく考えすぎなくても大丈夫です。まずは「1日を通して、大まかに栄養が整えばOK」という視点で考えましょう
まとめ:楽しみながら、体も大切に
お菓子は「気分をほっとさせる食品」であり、「体をつくる食品」ではありません。お菓子を食事代わりにすると、たんぱく質や野菜・ビタミン・ミネラルが不足しがちです
食べ過ぎ防止や不足を補う工夫をしつつ、1日全体で栄養のつじつまが合うようざっくり調整しましょう
食べ方を工夫すれば、お菓子も生活に上手に取り入れられます。忙しい毎日だからこそ、「お菓子=悪者」ではなく、「楽しみながら、体も大事にする」視点を持っていきましょう。最後まで読んでいただきありがとうございます。参考になれば嬉しいです

やっぱりお菓子だけで食事を済ませるのは、ちょっと心配かも

毎日お菓子で済ませるのは、きびしいね
でも、たまにはそういう日もあるでしょう。無理せず、ぼちぼちやりましょうよ
免責事項
・本記事で提供する健康情報は、あくまで一般的な内容であり、一個人としての経験や知見に基づいて発信しています
・紹介する食品や食材を多量に摂取することで、病気が治ったり、健康がより増進するものではありません
・サプリメントや健康食品は、あくまで日々の食事を補う手段の一つです。持病のある方や薬を服用中の方は、自己判断せず、かかりつけの医師や薬剤師にご相談ください
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